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千と千尋の物語〜人生の扉を開く(第1部)


宮崎駿がアニメ映画に果たした役割は、イングマール・ベルイマン監督の現在の映画界における功績に匹敵する、と中南米出身のある映画評論家は語っています。もちろん、かたや有名でつつましやかなスウェーデン出身の映画監督と、子供向けアニメ映画を創るアーティストを比較するのは見当違いに思えるかもしれません。それに実際のところ、日本の文化的な背景やジョークに疎い外国人が千尋の冒険を100%楽しむことは出来ないかもしれません。しかし、アーティスティックな光にあふれる宮崎作品の中で展開されるアーキタイプは、世界中の人々の心をつかんで離しません。


作品の完成度が高ければ高いほど、そこには作者の魂が表現されており、同時に彼または彼女の出生図も見てとることができるのをご存じでしょうか?(もちろん、失敗作についても同じ事がいえます。)『千と千尋の神隠し』は、人生の扉、森と迷路の旅、12室に隠された罠と幻影、そしてシンボルがもたらす思慮深く、かつ愉快な癒しの力に彩られた、万国共通の普遍的な物語といえるでしょう。宮崎監督の出生時間までは残念ながらわかりませんが、彼の誕生日は1941年1月5日。彼の出生図には、彼のダイナミックな無意識の創造性を解き明かす貴重な情報がこめられています。


逆境における千尋の勇気とぬかりのなさ、危険を察知する能力、そして必要とあらば状況に立ち向かう力・・・これらを象徴するのは、宮崎監督の牡羊座の月です。千尋は典型的な火のサインの子供で、自分の意志ではどうすることもできない強大な力に突き動かされて脅しに立ち向かいます。実は、一般的なイメージとは異なり、牡羊座生まれは最初はみな臆病者なのです。困難な状況に見舞われて初めて、彼らは自分が勇敢なヒーローになれることに気づくのです。千尋も最初は、廃墟と化したテーマパークの入り口となる暗いトンネル(無意識の世界に飛び込むことを意味します)に入ることを嫌がっていましたが、両親を救えるのは自分しかいないことに気づいた後は、しっかりと前を向いて人生の戦いに踏み出すのです。


龍と化したハクを助けようと彼女が決めた時も同様です。この美しい生き物が本当にハクである確証はないものの、自分の直感を信じた彼女は、自分ただ一人で魔女に立ち向かう最も危険な旅に出ることを決意します。宮崎監督の月のルーラーである火星は射手座にあり、冥王星に対してトラインの位置にあります。あらゆる挑戦は発見をもたらす素晴らしい冒険であり、知恵を獲得するための危険と再生(冥王星)に満ちた追求の道なのです。そして、どの宮崎作品の中にも、作品を完成させるための監督自身の戦い(下調べ、描画、熟考)が浮き彫りになっています。


宮崎監督の牡羊座の月は、山羊座にある太陽・水星コンジャンクションとスクエアになっているのではないかと私は考えます(少なくとも、水星がスクエアなのは確実でしょう。また、牡羊座と山羊座はそもそもスクエアの位置関係にあることからも、そのサインに属する天体にもスクエア的な影響が及ぶと考えてよいでしょう)。このことからも、任務を果たした後にハクと千尋は別れなくてはいけない運命にあるといえます。しかし、太陽・水星コンジャンクションの特徴を自分の中に消化したことで、千尋が望めば、ハクはいつでも彼女の記憶の中から姿を表してくれるはずです。ハクは極めて水星らしく、千尋を成長させるために魔法と巧みな話術で彼女を助けます。ある時は天空を舞う龍、ある時は賢い12才の男の子へと姿を変える彼は、ユングいうところの深い無意識の世界へと魂を導く、錬金術師としての水星そのものです。


千尋に対して、賢く用心深い山羊座の水星であるハクは、まず逃げ出すように、次に“この世界のもの”を食べることで身体を現実の世界に留まらせるように忠告します。夢や瞑想など“無意識の世界”へ旅する時、わたしたちは真の目的をうっかり忘れてしまいがちです。だからこそ、常に地に足をつけている必要があるのです。くされ神(彼が象徴するのは水ではなく、“エネルギーの流れ”と“追憶”です)は千尋の頭に触れ、彼女が進むべき道を示します。階段、開かなくてはいけない扉、そしてそこから逃げだし自由の身となって両親を救い出すこと・・・そしてなによりも、全力で立ち向かっていくこと・・・が彼女に課せられた使命なのです。そしてハクは彼女に“自分の名前を忘れるな”と忠告します。なぜならば、水星を通じて太陽が彼女に受け継がせようとする“名前”こそが、彼女のアイデンティティそのものであるからです。


(強欲な魔女である湯婆婆は土星を意味します。土星ゆえに、誰も・・・特に千尋は・・・彼女から命令された仕事を断るわけにはいきません。このことについては第2部でもっと詳しくお話したいとおもいます。)



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